経営事項審査(経審)について
経営事項審査(経審)とは、公共工事の入札に参加するために必要な審査です。
審査の主な内容は、建設業者の財務状況、経営管理能力、業務実績などです。
受けることにより入札に参加することができるというメリットがある一方で、申請書類の作成や提出、期限管理などが大変というデメリットも存在します。
今回は、経審の概要や申請手続きの流れ、申請にあたっての注意点などを解説していきます。
ー目次ー
1.経営事項審査(経審)とは
経営事項審査(以下、経審)とは、簡単にまとめると、財務状況、施工能力などを客観的に評価し、点数化したものです。
この審査を受けることで公共工事を請け負うことができる状態になります。
経審を受けると、公共工事を直接請け負えるメリットがあります。
なお、経審の結果は有効期限があり、審査基準日(決算日)から1年7ヵ月となっています。
なので、決算終了後速やかに経営事項審査を申請する方が公共工事を請け負える期間が長くなるということです。
経審は項目ごとに点数化され、高ければ高いほど請け負える公共工事の規模が大きくなります。
項目については下記の通りです。
・X₁ (経営規模)年間平均完成工事高
・X₂ (経営規模)自己資本額と平均利益額
・Z (技術力)技術職員数と元請完成工事高
・W (その他の審査項目)労働福祉の状況など
・★Y (経営状況)純支払利息比率など
★Yは都道府県、市町村などではなく、「経営状況分析機関」に必要書類を提出し、点数をつけてもらいます。
上記の項目を総合的に評価した点数をP点といいます。
このP点が高いほど大きい規模の工事を請け負うことができる可能性が高くなります。
2.経営事項審査の流れ
経審は下記のような流れで行います。
【1.決算変更届の提出】
まず、決算変更届を許可行政庁に提出します。
大阪では、審査対象事業年度(直近1年)と完成工事高(2年平均又は3年平均)分の決算変更届の副本を提示しなければなりません。
つまり、一年でも決算変更届を提出していない年度があると、経営事項審査を受けることができないので注意しましょう。
【2.経営状況分析をする】
必要書類を揃えて経営状況分析機関に提出し、Y点(経営状況)を算出してもらいます。
経営状況分析機関とは、Y点(経営状況)の算出について国土交通省の登録を受けている機関のことを指します。
下記10ヵ所のいずれかに経営状況分析を申請します。
・建設業情報管理センター(CIIC)
・マネージメント・データ・リサーチ(MDR)
・ワイズ公共データシステム
・九州経営情報分析センター
・北海道経営情報センター
・ネットコア
・経営状況分析センター
・経営状況分析センター西日本
・NKB
・建設業経営情報分析センター
料金や速さがそれぞれ違うので比較することをおすすめします。
電子データなどで結果を受け取ったら必ず保管しておきましょう。
※経営事項審査の有効期限は「審査基準日(決算日)」から1年7ヵ月となっているので、経営状況分析の申請が遅れてしまえばしまうほど有効期限が短くなってしまいますので気を付けましょう。
【3.経営事項審査を受ける】
経営事項審査を受けるための準備として受審日の予約をします。
許可行政庁によっては、前日や当日の予約ができない場合もあるので、詳しくは許可行政庁のHPをご覧ください。
(大阪府知事の場合、予約は申請日の2か月前から2開庁日前までとされており、前日、当日の予約は不可となっています。また、電話での予約ができず、窓口又はFAXでの予約のみとなっています。)
最後に、受審日に経営状況分析の結果などの必要書類を持参して提出と提示が完了すれば、結果を待つだけとなります。
必要書類については事前チェックコーナーがある場合がありますので、そちらも活用しましょう。
(大阪府知事の場合、事前チェックサービスコーナーと電話相談があります。)
まとめ
以上、経営事項審査について説明しました。
3期目以降の方にとって経営事項審査はメリットが大きく、公共工事という新たな収入源ができる可能性があります。
ですが、書類や受審日の管理の手間も増えてしまうことや、手数料がかかるデメリットもありますので、慌てず考えていきましょう。