建設キャリアアップシステム(CCUS)について
一般社団法人建設業振興基金が運営の主体となって、2019年4月から運用が開始された建設キャリアアップシステム(通称:CCUS)は、2022年秋頃に登録者数100万人を突破しています。
建設キャリアアップシステム(通称:CCUS)は建設業界における技能者の能力が適正に評価されにくい部分や若手不足という課題を解消するために作られました。
今回は、建設キャリアアップシステム(通称:CCUS)について解説していきます。
※CCUSのレベル判定についての改正がありました。詳しくは建設技能者の能力評価制度に関するガイドラインをご覧ください。
1.建設キャリアアップシステム(通称:CCUS)とは?
建設キャリアアップシステム(通称:CCUS)とは技能者の資格、社会保険加入状況や現場の就業履歴などを登録・蓄積できる仕組みのことです。
技能者の資格、社会保険加入状況や現場の就業履歴などを登録・蓄積できることで、建設業界の課題である技能者の適正な評価のされにくさや、若手不足の解消にもつながる可能性があります。
また、入場の管理や建退共掛金の積立が簡単になるため、現場運用の際の効率化を図ることができます。
そして、現在増えている外国人労働者の資格等の確認が容易になるため、雇うことができる労働者の幅が広がることも考えられます。
2.CCUSのメリットとデメリット
建設キャリアアップシステム(通称:CCUS)はメリットがある一方でデメリットも存在します。
では、メリットとデメリットを挙げていきます。
メリット
【技能者】
①能力が適正に評価されやすくなる
カードのレベルによって資格や経験等が判断できるので、能力を客観的に見ることができるので適正に評価される可能性が高くなります。
②建退共に加入している場合、積み立てが簡単になる
建退共の電子申請方式を利用している場合、カードリーダー等にタッチするだけで建退共の掛金が溜まるので、証紙を貼る手間がなくなります。
【事業者】
①取引先へのアピールになる
自社の技能者の能力が見えるので、取引先からの信頼を得やすくなります。
②現場の入場管理の効率化になる
カードリーダー等にタッチするだけで入場管理、建退共の積み立てが自動で行われるのでペーパーレス化と効率化が期待されます。
③技能実習生を雇う際の体制の基準を一部クリアできる
技能実習生を雇うには下記の3つの体制の基準を満たしている必要があります。
・申請者が建設業法第3条の許可(建設業許可)を受けていること
・申請者が建設キャリアアップシステムに登録していること
・技能実習生を建設キャリアアップシステムに登録すること
上記のうち2つがクリアできる状態になるので、技能実習生を雇い入れることも視野に入れることができ、人手不足の解消策になる可能性があります。
デメリット
【技能者】
①登録が面倒
インターネット申請、認定登録機関の窓口申請のどちらにしろ必要書類を集める必要があります。
また、わからない部分を問い合わせたいときにも電話では対応してくれません。
専用のお問い合わせフォームから問い合わせるか建設キャリアアップシステム(通称:CCUS)のFAQ(よくあるご質問)から検索して解決する必要があります。
②登録料がかかる
下記の登録料がかかってきます。
なお、会社負担の場合は関係ありません。
申請方法 | 登録料 |
---|---|
インターネット | 簡略型:2,500円 |
詳細型:4,900円 | |
認定登録機関 | 詳細型:4,900円 |
また、カードを紛失した際には発行手数料として1,100円かかります。
【事業者】
①費用が掛かる
事業主としての登録料と従業員分も負担する場合は上記②の【技能者】の中にある表の登録料もかかってきます。
事業主登録料は下記の表のとおり、資本金によって異なります。
資本金 | 登録料&更新料 |
---|---|
一人親方 | 0円 |
500万円未満(個人事業主含む) | 6,000円 |
500万円以上1,000万円未満 | 12,000円 |
1,000万円以上2,000万円未満 | 24,000円 |
2,000万円以上5,000万円未満満 | 48,000円 |
5,000万円以上1億円未満 | 60,000円 |
1億円以上3億円未満 | 120,000円 |
3億円以上10億円未満 | 240,000円 |
10億円以上50億円未満 | 480,000円 |
50億円以上100億円未満 | 600,000円 |
100億円以上500億円未満 | 1,200,000円 |
500億円以上 | 2,400,000円 |
上記に加えて、管理者ID利用料もかかってきます。
一人親方の場合は2,400円ですが、他は一律で11,400円かかります。
※ID利用料は1IDごとにかかってきます。
また、元請の場合は現場利用料1現場1人当たり10円かかってきます。
②登録が面倒
インターネット申請、認定登録機関の窓口申請のどちらにしろ必要書類を集める必要があります。
また、わからない部分を問い合わせたいときにも電話では対応してくれません。
専用のお問い合わせフォームから問い合わせるか建設キャリアアップシステム(通称:CCUS)のFAQ(よくあるご質問)から検索して解決する必要があります。
③元請のみ建レコカードリーダーの設置が必要
元請は建レコのカードリーダーの設置と費用負担をしなければなりません。
3.カードを紛失した場合
建設キャリアアップシステム(通称:CCUS)のカードを紛失してしまった場合は下記の流れで対応する必要があります。
①最寄りの交番に遺失物届を提出
②お問い合わせセンター(03-6386-3725)に連絡
➂システムにログインし、360_カード再発行>10_支払の順に選択し決済する(1,100円)
④届くまでの間はシステムに直接入力する
4.まとめ
以上、建設キャリアアップシステム(通称:CCUS)について解説しました。
建設キャリアアップシステム(通称:CCUS)はデメリットがあり、事業者側にとっては費用が掛かるので経営の大きな負担になります。
ですが、国土交通省の建設キャリアアップシステム普及・活用に向けた官民施策パッケージによると令和5年度からあらゆる工事について義務化すると記載されているので、必ず登録しておく必要が出てきますので、登録を検討しておきましょう。