建設業許可の要件】
誠実性と欠格要件について

建設業許可では、誠実性と欠格要件というものがあります。

欠格要件については一つでも当てはまってしまうと、許可が取得できない可能性が高くなってしまうので、注意して確認しましょう。
ですが、全員が当てはまってはいけないのではなく、ある一定の人のみになっています。

それでは、誠実性と欠格要件について詳しく解説していきます。

1.建設業許可要件:誠実性とは?

建設業許可においての誠実性があるとされる基準は建設業法で定められています。

法人である場合においては当該法人又はその役員等若しくは政令で定める使用人が、個人である場合においてはその者又は政令で定める使用人が、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。

e-Gov法令検索建設業法第七条第三号より引用

となっています。

上記に記載されている、請負契約に関しての不正または不誠実な行為とは下記のような行為のことです。

3.誠実性について(第3号)

(1)「不正な行為」とは、請負契約の締結又は履行の際における詐欺、脅迫、横領等法律に違反

する行為をいい、「不誠実な行為」とは、工事内容、工期、天災等不可抗力による損害の負担

等について請負契約に違反する行為をいう。

建設業許可事務ガイドラインについてp.28より引用

上記の不正な行為または不誠実な行為により、行政からの処分を受けていると誠実性がないとみなされてしまいます。

2.建設業許可要件:欠格要件とは?

欠格要件とは、当てはまってしまうと許可が取得できない項目のことです。建設業法では次のように項目が記載されています。

第八条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次の各号のいずれか(許可の更新を受けようとする者にあつては、第一号又は第七号から第十四号までのいずれか)に該当するとき、又は許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、許可をしてはならない。

 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

 第二十九条第一項第七号又は第八号に該当することにより一般建設業の許可又は特定建設業の許可を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者

 第二十九条第一項第七号又は第八号に該当するとして一般建設業の許可又は特定建設業の許可の取消しの処分に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条の規定による通知があつた日から当該処分があつた日又は処分をしないことの決定があつた日までの間に第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出をした者で当該届出の日から五年を経過しないもの

 前号に規定する期間内に第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出があつた場合において、前号の通知の日前六十日以内に当該届出に係る法人の役員等若しくは政令で定める使用人であつた者又は当該届出に係る個人の政令で定める使用人であつた者で、当該届出の日から五年を経過しないもの

 第二十八条第三項又は第五項の規定により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者

 許可を受けようとする建設業について第二十九条の四の規定により営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者

 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者

 この法律、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の規定(同法第三十二条の三第七項及び第三十二条の十一第一項の規定を除く。)に違反したことにより、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者

 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(第十四号において「暴力団員等」という。)

 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの

十一 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は次号(法人でその役員等のうちに第一号から第四号まで又は第六号から前号までのいずれかに該当する者のあるものに係る部分に限る。)のいずれかに該当するもの

十二 法人でその役員等又は政令で定める使用人のうちに、第一号から第四号まで又は第六号から第十号までのいずれかに該当する者(第二号に該当する者についてはその者が第二十九条の規定により許可を取り消される以前から、第三号又は第四号に該当する者についてはその者が第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第六号に該当する者についてはその者が第二十九条の四の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該法人の役員等又は政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの

十三 個人で政令で定める使用人のうちに、第一号から第四号まで又は第六号から第十号までのいずれかに該当する者(第二号に該当する者についてはその者が第二十九条の規定により許可を取り消される以前から、第三号又は第四号に該当する者についてはその者が第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第六号に該当する者についてはその者が第二十九条の四の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該個人の政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの

十四 暴力団員等がその事業活動を支配する者

e-Gov法令検索建設業法第八条より引用

たくさん項目があるのでまとめると、次のようになります。

〈欠格要件の項目〉
①破産していて復権していない方
②不正な手段(嘘をつくなど)で建設業の許可を取得し、行政から許可を取り消され、許可取消しの日から5年を経過していない方
③不正な手段(嘘をつくなど)で建設業の許可を取得し、行政から許可取消し処分の通知をされた日から実際に処分されるかどうかの決定日までの間に廃業届を出し、その日から5年を経過していない方
④③で通知があった日から60日以内に法人の場合、役員等もしくは営業所長、個人の場合は営業所長であった方で5年を経過していない方
⑤営業停止処分を受けてその停止の期間が経過していない方
⑥営業禁止処分を受けてその禁止の期間が経過していない方
⑦禁錮以上の刑に処せられてから5年を経過していない方
⑧建設業法、建設工事の施工や労働者に関する一定の法令の規定で政令で定めるものもしくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規程に違反したことや、傷害、脅迫、横領の罪で罰金以上の刑に処せられてから5年を経過していない方
⑨暴力団員の方、もしくは暴力団員がなくなってから5年を経過していない方
⑩心身を故障されている方
⑪営業に関して、未成年者の法定代理人の方が①~⑩に当てはまる場合
⑫法人のうち役員等又は営業所長で①~④、⑥~⑩に当てはまる場合
⑬個人のうち営業所長で①~④、⑥~⑩に当てはまる場合
⑭暴力団員等に事業活動を支配されている場合

※一定の法令の規定とは下記の通りです。

  • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律:第32条の3第7項及び第32条の11第1項の規定を除き、この法律に違反した者に係る同法第46条、第47条、第49条又は第50条
  • 刑法:第204条(傷害罪)、第206条(現場助勢罪)、第208条(暴行罪)、第208条の3(凶器準備集合罪)、第222条(脅迫罪)又は第247条(背任罪)
  • 暴力行為等処罰に関する法律
  • 建築基準法:第9条第1項又は第10項前段(同法第88条第1項から第3項まで又は第90条第3項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定による特定行政庁又は建築監視員の命令に 違反した者に係る同法第98条第1項(第1号に係る部分に限る。) ・宅地造成等規制法(昭和36年法律第191号)第14条第2項、第3項又は第4項前段の規定による都道府県知事の命令に違反した者に係る同法第26条
  • 都市計画法:第81条第1項の規定による国土交通大臣、都道 府県知事又は市町村長の命令に違反した者に係る同法第91条
  • 景観法:第64条第1項の規定による市町村長の命令に違反した者に係る同法第101条
  • 労働基準法:第5条の規定に違反した者に係る同法第117条 (労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)第44条第1項(建設労働者の雇用の改善等 に関する法律(昭和51年法律第33号)第44条の規定により適用される場合を含む。 第7条の3第3号において同じ)又は労働基準法第6条の規定に違反した者に係る同法第118条第1項
  • 職業安定法:第44条の規定に違反した者に係る同法第64条
  • 労働者派遣法:第4条第1項の規定に違反した者に係る同法第59条

3.誰が当てはまるとダメなの?

欠格要件や誠実性に注意が必要な方は決まっています。

法人の場合

  • 役員等(常勤・非常勤どちらも)
  • 100分の5以上の株主
  • 顧問役
  • 相談役
  • 他に営業所がある場合は営業所長や支店長

個人の場合

  • 事業主
  • 支配人
  • 他に営業所がある場合は営業所長や支店長

以上の方は注意する必要があります。それ以外の専任技術者やほかの社員の方が欠格要件に当てはまっている場合でも大丈夫です。

4.必要書類一覧表

法人については、取締役、営業所長(令3条使用人)
個人については、事業主、支配人、営業所長(令3条使用人)

以上の方は、下記の書類が必要です。

・登記されていないことの証明書(法務局の本局で取得できます。)
 大阪の場合→大阪法務局 大阪市中央区谷町2丁目1番17号
・身分証明書(身元証明書)(本籍地のある市区町村で取得できます。)

※免許証や住基カード(マイナンバーカード)などではなく、本籍地の役所が発行している書類になります。
※顧問や相談役、100分の5以上の株主の方は不要です。

5.許可前または許可後にあてはまってしまった場合は?

許可前に当てはまってしまった場合は、その人を役職から退ける必要があります。欠格要件に該当しなくなったときに再び戻すことも可能です。

許可後に当てはまってしまった場合は残念ながら許可取消になってしまいます。(建設業法第二十九条第三号

まとめ

以上、欠格要件と誠実性の解説をしました。

欠格要件と誠実性については他の要件をすべて満たしていても当てはまってしまうと許可がとれません。また、許可後に該当してしまうと、許可取消になり、再度取得しなおさなければならない状況になってしまいますので許可後もお気を付けください。