建設DXについて

建設業界においては、デジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されています。
建設DXとは、建設現場において、デジタル技術を活用して効率化や品質向上を図る取り組みのことです。
この記事では、建設DXの概要や導入のメリット、具体的な取り組み事例などについて解説します。

1.建設DXとは

まず、DXとは何かを解説します。

Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)
企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること

引用:総務省HP第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済より

少し難しいですが、総務省HPの図を見ると分かりやすいかもしれません。

引用:総務省HP第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済より

今行っている業務をデジタル化によって便利にしていくという面ではすべて同じです。

建設DXは、建設業の業務をデジタル化によってより良い方向に変革させていくことです。
これが発展していくにつれて、様々な課題が解決へと向かっていく可能性が高いです。

2.DXによって解決できるかもしれない課題

建設DXによって解決できる可能性が高い課題は多くあります。

①人手不足
 昨今の建設業界では、少子高齢化による人手不足が重大な課題になっています。
 2022年労働力調査(基本集計)によると就業者数が2021年と比較して6万人減少しています。
 DXによって、労働力が補填できるため、限りある人材を今よりも有効的に使えるかもしれません。

②長時間労働
 長時間労働については建設業だけではなく、様々な業種で問題になっています。
 建設業の長時間労働は①の人手不足や工事の納期を遅らせてしまうと発注者だけではなく、その施設を利用する人にも迷惑が掛かってしまうという大きな責任があるため、一日の労働時間を長くせざるを得ないケースが多いです。
 ですが、3Dプリンタなどで設計図が早く書けるようになることや、リモートで現場を確認することができるので時間の短縮につながる可能性が高くなります。

③危険性
 建設業はかつて3Kの仕事と呼ばれていました。
 3Kの中でも命の「危険」が隣にある中での仕事はプレッシャーが高く不安が常にあります。
 その不安を軽減するために建設DXが活躍するかもしれません。
 ドローンや3D技術を使うことにより、高い場所や狭い空間、災害時の工事など危険な工事現場の手助けになります。

現在の建設業は新3K(給料・休暇・希望)となっており、これからどんどん労働環境を整えていく必要が出てきます。

3.建設DXによって生まれるかもしれない課題

建設DXに取り組むことによってたくさんのメリットが享受できますが、一方で課題が生まれてしまう可能性もあります。

①セキュリティ
 建設DXで一番の懸念が顧客情報や工事現場の情報が漏れてしまう危険性があることです。
 そのため、セキュリティソフトを導入するなど何か不具合があったときの対処法を考える必要があります。

②人件費
 建設DXに取り組むために欠かせないのがその技術に詳しい人材です。
 何かトラブルがあったときに相談できたり、修理をしてくれたりする人が必要になります。
 なので、できれば修理保証サービスや相談サービスがある機器を選ぶとよいかもしれません。

③導入に際しての時間的、金銭的コスト
 現在の仕組みを変えるためには時間面、金銭面においてコストがかかります。
 時間面では、導入までの会議や比較検討する時間、導入してからは使い方を教える時間が発生します。
 金銭面では、セキュリティや本体に係るお金が発生してしまいます。

上記のような課題が発生する危険性をはらんでいるので慎重に検討しながら進めていくことをおすすめします。

4.建設DXの主な技術

建設DXは様々な場面で活用されるようになっています。
令和5年3月23日に開催された「第7回 国土交通省インフラ分野のDX推進本部」では、DXに係る施策の進捗状況をまとめた資料が公開されました。
例えば、令和5年度より原則適用とされているBIM/CIM(設計→施工→竣工→維持管理の全てを電子データ(3次元モデル)で管理していくというシステムのこと)の具体的な説明がされています。

引用:国土交通省初めてのBIM/CIMより

BIM/CIMを推し進めることにより、建築物の管理、維持がしやすくなるだけでなく、設計に3次元の地形データが利用できることでより立体的に現場を把握することができます。

今後もより一層BIM/CIMが発展していき、デジタル前提の制度となることを目指しているとのことです。

また、ICT建設機械(遠隔操作できる建設機械のこと)についても書かれており、手間の削減につながると記載されています。
2022年10月には「ICT建機認定制度」により19件もの建機が認定されています。(ワイズ公共データシステム株式会社10月6日国交省/ICT建機認定制度で65件初認定、ロゴマークも公表より引用)
建機を購入する際にはICT認定建機かどうかを見て選ぶ必要がある未来も遠くはないのかもしれません。(ICT建機認定された建機の一覧はこちら

また、大手ゼネコンだけでなく、中小企業の方々も業務に必要な書類をFAXではなくメールにしたり、CCUSを取り入れることで現場の効率化を図ったり企業の大小にかかわらず着々と進んでいるのかなと感じます。

まとめ

以上、建設DXについてまとめました。
建設DXは建設業界におけるデジタル技術の活用により、業務の効率化や品質向上を目指す取り組みです。
今後、建設業界のDX化が進むことで、建設プロジェクトの計画・設計・施工・保守・管理において、より効率的になるかもしれません。
建設DXは、建設業界の未来にとって非常に重要なテーマになりつつあるのではないでしょうか。