【建設業許可の変更届】
変更届について
建設業許可の申請内容に変更があった場合には、変更届という届出をする必要があります。
建設業許可の変更届にはいくつかの種類があり、その中には、変更の有無にかかわらず毎年提出しなければならない届出もあるので注意しましょう。
また、提出期限も決められているので確認しましょう。
今回は、建設業許可に係る変更届について解説していきます。
1.変更届の期限
冒頭で紹介した通り、建設業許可の変更届には期限があります。
下記の表は、期限ごとの主な変更届の事項についてまとめたものになります。
①事実発生後14日以内の届出 | ・常勤役員等(経営業務の管理責任者)の変更 ・社会保険等の加入状況の変更 ・専任技術者の変更 ・建設業法施行令第3条に規定する使用人(令3条使用人)の変更 ・欠格要件に該当した場合 |
②事実発生後30日以内の届出 | ・商号又は名称の変更 ・資本金の変更 ・営業所の変更 ・役員等の変更 ・支配人の変更、事業主や支配人の氏名の変更 ・廃業した場合(一部業種の廃業も含む) |
➂決算終了後4か月以内の届出 | ・決算変更届 |
期限は3種類あり、14日、30日、4か月と分かれています。
期限を守らないと建設業法による罰則が科される可能性があるのでお気を付けください。
万が一、間に合わない場合は事前に提出先へ相談しましょう。
2.変更届の概要
では、次にそれぞれの変更届についてひとつずつ解説していきます。
事実発生後14日以内の届出
①常勤役員等(経営業務の管理責任者)の変更
この変更届は、常勤役員等(経営業務の管理責任者)を変更した場合に必要です。
新しい方が就任してから14日以内に提出しましょう。
ただし、常勤役員等(経営業務の管理責任者)が一日でもいない期間があると許可取消になりますので、事前に要件を満たす方を雇い入れておきましょう。
また、補佐する方を変更する場合もこの変更届が必要になります。
②社会保険等の加入状況の変更
社会保険や雇用保険について適用除外の事業所となった場合や、反対に適用事業所となった場合に必要です。
この変更届で変更できるのは社会保険等の加入人数以外の事項です。
加入人数を変更する際は、決算変更届を出す際に「健康保険等の加入状況(省令様式7号の3)」を提出することで変更できます。
➂専任技術者の変更
専任技術者の交代や取得している資格の変更、専任になる業種を変更する際に必要です。
また、営業所の新設の際にもこの届出が必要になります。
専任技術者も①と同様に一日でもいない期間があると許可取消になってしまいますので、事前に要件を満たす方を雇い入れておきましょう。
④建設業法施行令第3条に規定する使用人(令3条使用人)の変更
「建設業法施行令第3条に規定する使用人(令3条使用人)」とは、支配人や支店の営業所の代表者(支店長、営業所長など)のことです。
建設業法施行令第3条に規定する使用人(令3条使用人)について変更があった場合は、変更届を提出する必要があります。
また、営業所の新設の際や、営業所を廃止する際にも必要です。
なお、”廃止”と”廃業”は違うのでご注意ください。(廃止はその営業所を無くすこと、廃業は建設業を取得している業種のうち、一部または全部の業種をやめること)
⑤欠格要件に該当した場合
欠格要件に該当した場合、その旨を報告する義務があります。
なお、当てはまってはいけない方は下記に該当する方になります。
法人の場合
- 役員等(常勤・非常勤どちらも)
- 100分の5以上の株主
- 顧問役
- 相談役
- 他に営業所がある場合は営業所長や支店長(令3条使用人)
個人の場合
- 事業主
- 支配人
- 他に営業所がある場合は営業所長や支店長(令3条使用人)
欠格要件の項目等についてはこちらの記事をご覧ください。
事実発生後30日以内の届出
●営業所(本店・支店)の変更
営業所について、下記のことがらが起きた際に必要になります。
・営業所の移転
・電話番号の変更
・住居表示の変更
・支店等の新設
・支店等の廃止
・業種(専任技術者の変更届も必要)の変更
※社会保険の加入状況に変更がある場合は、別途、社会保険の変更届の提出が必要です。
●商号又は名称の変更
会社や事業所の名称を変更する際に提出が必要になります。
例えば、有限会社から株式会社にした場合や社名を変更した場合(〇○建設会社→△△建設会社)に必要です。
●資本金の変更
資本金額を増資または減資した場合に必要です。
特定許可の財産的基礎要件を増資して満たす際に主に必要になってきます。
●法人の役員等(株主等を除く)の変更
法人の役員等が就任や退任、氏名を変更した場合に届出が必要です。
※株主等とは、法人でかつ株式会社である場合の、100分の5以上の株主、そのほかの法人にあっては、出資の総額の100分の5以上の出資をしている者のことです。
●株主等の変更
新たに株主等の条件を満たした方がいる場合や株主等の条件に該当しなくなった場合に必要な届出です。株主等とは次の項目に当てはまる方のことです。
〈株主等に当てはまる方〉
①法人かつ株式会社で総株主の議決権の100分の5以上を有する株主
②その他の法人にあっては出資の総額の100分の5以上に相当する出資をしている方
●支配人の変更、個人事業主や支配人の氏名の変更
事業主と支配人の氏名の変更や、支配人を変更する際に必要です。
●廃業した場合
廃業した場合は届出が必要です。会社や事業所そのものを廃業する際や取得している許可のうちどれかを削除したいというときに提出する必要があります。
廃業届の提出が必要な事例は下記の通りです。
・個人事業主が死亡したとき
個人事業主が亡くなった場合かつ、建設業を相続する人がいない場合に必要です。
この届出は相続人が届出を提出することになります。
※相続する場合は廃業届ではなく相続の認可になってきます。
・法人が合併により消滅したとき
他の企業との合併で許可を受けている法人が消滅する際に必要です。
この届出は解散時、役員だった方が届出をします。
・法人が破産手続開始の決定をしたとき
破産手続開始の決定をした場合に必要です。
この届出は破産管財人が届出を提出することになります。
・法人が合併又は破産以外の理由で解散したとき
この場合は清算人が届出する必要があります。
・許可を受けた建設業を廃止したとき
許可を受けている建設業の業種のうち1つから廃業することができます。
これを一部廃業といい、一部の要件を満たさなくなった業種がある場合に必要な届出です。
個人事業主または法人の役員が提出する必要があります。
各変更届は委任状があれば代理人に依頼することが可能です。
決算終了後4か月以内の届出
●決算変更届
決算終了後4か月以内に提出しなければならないのが決算変更届です。
都道府県によって名称が違いますが、内容は建設業用の決算に関する書類です。
建設業者が一年に一回(決算期ごと)に提出する義務がある届出のことです。
出していない年があると建設業許可の更新申請ができなくなるので、忘れず出すようにしましょう。
詳しくはこちらで解説しております。
3.まとめ
以上、建設業許可の変更届について解説しました。
変更届は種類が多く、提出期限も異なることが多いため、各提出先のHPをご覧ください。
決算変更届については、決算期ごとに提出する義務がありますので、遅れないように提出しましょう。
万が一遅れそうなときは提出先にご相談ください。