【建設業許可】
基本知識と6つの要件について

建設業許可を取得するためには、6つの要件を全て満たす必要があります。
建設業許可を取得することによって、500万円以上の工事を請け負えるようになり、事業の幅を広げることができます。
また、許可を持っているというお客様や元請の信頼を得ることができます。

今回は、建設業許可の基本的な知識と、要件について解説していきます。

1. 建設業許可とは?

建設業許可とは、簡単に説明すると、500万円以上の工事を請け負う際に必要な許可です。
いわゆる軽微工事に当てはまらない工事を施工する際に必要です。
建設業法施行令第一条の二によると軽微工事とは500万円未満(建築一式の場合は1,500万円未満または150㎡未満の木造住宅)の工事のことと記載されています。

ただし、解体工事業または電気工事業は、許可とは別に登録が必要な可能性があります。

※住宅の定義は総務省統計局HPに記載されています。

2. 建設業許可の種類

建設業許可にはいくつかの種類があります。

①一般許可と特定許可

 ・一般許可
   特定許可または軽微工事以外の工事の場合に必要
 ・特定許可
   発注者から直接請け負った工事について、下請けに出す際の金額が4,500万円
  (建築一式の場合7,000万円)以上となる場合に必要

一般許可と特定許可の違いは下請けに出す工事の金額です。

一般許可さえ持っていれば、元請として施工する際や、下請として施工する際にも金額の上限はありません。
ですが、発注者から直接工事を請け負い、その工事を下請に出す場合には上記の金額以上になると特定許可が必要になります。
大きい規模の工事は下請けに出す機会も多いと思いますのでご注意ください。

②知事許可と大臣許可

知事許可と大臣許可の違いは営業所の設け方です。
知事許可は、1つの都道府県にのみ営業所を設ける際に必要なのに対し、大臣許可の場合は、2つ以上の都道府県にまたがって営業所を設ける際に必要です。
なお、1つの都道府県に2つ以上の営業所を設けたとしても知事許可で大丈夫です。

申請区分に関しては、下記のいずれかとなります。
※令和5年度改正済み

  • 一般・知事許可 特定許可以外の建設工事で1つの都道府県にのみ営業所を設ける場合
  • 特定・知事許可 発注者から直接請負い、下請けに出す金額が4,500万円(建築一式の場合7,000
            万円)以上の工事で1つの都道府県に営業所を設ける場合
  • 一般・大臣許可 特定許可以外の建設工事で2つ以上の都道府県にのみ営業所を設ける場合
  • 特定・大臣許可 発注者から直接請負い、下請けに出す金額が4,500万円(建築一式の場合7,000
            万円)以上の工事で2つ以上都道府県に営業所を設ける場合

一般許可がある状態で特定許可を取得するとその業種の一般許可は効力がなくなり、特定許可になります。

 第一項第一号に掲げる者に係る同項の許可(第三項の許可の更新を含む。以下「一般建設業の許可」という。)を受けた者が、当該許可に係る建設業について、第一項第二号に掲げる者に係る同項の許可(第三項の許可の更新を含む。以下「特定建設業の許可」という。)を受けたときは、その者に対する当該建設業に係る一般建設業の許可は、その効力を失う。

e-Gov法令検索建設業法第三条第6号より引用

例)Aさんの持っている業種:建築一式(一般)、屋根(一般)、塗装(一般)
  今回、Aさんは、建築一式(一般)→建築一式(特定)にした。
上記の場合、他の業種においては一般許可のままで建築一式のみが特定許可になります。
同業種で一般許可と特定許可を持つことはできません

3. 5分でわかる一般建設業許可!

ここでは、建設業許可の中でも一般建設業許可について簡単に解説していきます。
建設業許可には必ず満たさなければならない要件があります。
下記の要件のうち①~⑥のすべてを満たさないと許可が下りません。

①経営業務の管理責任者がいること
②専任技術者がいること
③欠格要件と誠実性
④財産的基礎があること
⑤社会保険等に加入していること
⑥営業所があること

【要件①】経営業務の管理責任者等がいること

経営業務の管理責任者とは、建設業についての経営業務の管理を適正に行う能力がある方のことです。
法人なら常勤の取締役、個人なら事業主もしくは支配人が下記にあてはまることが必要です。
また、ロの場合は補佐する方が必要です。

詳しい経営業務の管理責任者等の要件についてはこちら→建設業許可の要件:経営業務の管理責任者について

更新申請の方は、直近の許可申請書があり、経営業務の管理責任者に変更がなければ要件を満たしているとみなされます。

【要件②】専任技術者がいること

専任技術者とは、許可を受けて建設業を行う上での建設業について、資格や実務経験がある技術者のことです。

建設業許可を取得するにあたって、取得したい業種について下記①~③のいずれかに当てはまる方を常勤にする必要があります。

専任技術者は、必ず一つの業種に最低一人必要です。
また、複数の業種を一人が担当したい場合は、業種ごとに〈専任技術者の条件〉を満たす必要があります。

詳しい専任技術者の要件についてはこちら→建設業許可の要件:専任技術者について
特定許可の場合はこちら→建設業許可:特定許可の要件について

【要件➂】欠格要件と誠実性

まず、欠格要件とは、当てはまると許可がとれない項目のことです。
欠格要件の主な項目は下記の通りです。

〈欠格要件の主な項目〉
・刑罰に処されたことがある(執行猶予が満了していない場合を含む)
・営業停止処分を受け、その期間を満了していない
・自己破産をしていて、復権していない
・暴力団関係者もしくはその営業を暴力団に支配されている
・不正な行為をして許可を取り消されてから5年経過していない

誠実性とは、請負契約に関して不正または不誠実な行為を働く恐れがないことです。
請負契約の内容に違反したり、請負契約の締結や履行の際に法律に違反する行為をして、処分を受けてしまった人は誠実性がないと判断されます。

欠格要件と誠実性は下記の方のみが、注意してください。
下記以外の方(従業員等)は当てはまっていても問題がないので安心してください。

〈欠格要件と誠実性に注意が必要な方〉
《法人の場合》
・役員(常勤・非常勤どちらも)
・100分の5以上の株主
・顧問役
・相談役
・他に営業所がある場合は営業所長や支店長
《個人の場合》
・事業主
・支配人
・他に営業所がある場合は営業所長や支店長

詳しい欠格要件と誠実性についてはこちら→建設業許可の要件:誠実性と欠格要件について

【要件④】財産的基礎要件を満たしていること

財産的基礎とは会社や事業所の基礎となるお金のことです。

次の①または②に当てはまればこの要件は満たしていることになります。

〈財産的基礎を満たしているとされる条件〉
直前の決算書のうち、貸借対照表の中の純資産合計500万円以上あること
②預金残高が500万円以上あること

この500万円は、新規許可後5年以内の許可換え新規または業種追加をする場合を除き、常に満たしている必要はありません。
なので、更新の際はスルーして大丈夫です。


詳しい財産的基礎の要件についてはこちら→建設業許可の要件:財産的基礎について
特定許可の場合はこちら→建設業許可:特定許可の要件について

【要件⑤】社会保険等に入っていること 

令和2年10月から社会保険と雇用保険に入っていることが要件になりました。

会社もしくは事業所が必要なのかどうかを判断できる表を作成したのでよろしければご利用ください。

※短時間労働者の場合、社会保険は不要です。

社会保険に関しては、年金事務所、雇用保険に関しては、ハローワーク(公共職業安定所)にお問い合わせください。
また、保険関係や労働関係に関しては社会保険労務士(社労士)さんにも相談ができます。

詳しい社会保険等の要件についてはこちら→建設業許可の要件:社会保険等について

【要件⑥】営業所があること

建設業での営業所と認められる基準は以下の2点です。

〈建設業での営業所の条件〉
請負契約を締結する事務所であること
建設業に実質的に関与する見積もり、入札等を行う事務所であること
※倉庫や車庫など建設業の請負契約に直接関係がない場合は認められません。

冒頭での解説の通り、営業所が1つの都道府県にある場合は知事許可、営業所が2つ以上の都道府県にある場合は大臣許可が必要になってきます。

詳しい営業所の要件についてはこちら→建設業許可の要件:営業所について

まとめ

以上、建設業許可の概要と6つの要件について解説しました。

6つの要件のうち、経営業務の管理責任者等と専任技術者については、条件を満たしている方を外部から雇用することでクリアできる可能性があります。
なので、お急ぎの場合は雇い入れることもご検討ください。